ゴルトベルク変奏曲~高橋望第34回ピアノリサイタル

開催地秩父市

不眠症のカイザーリンク伯爵の依頼に応じてバッハが作曲し、卓越した技術で鍵盤楽器を奏したといわれるゴルトベルクが伯爵の枕元で弾いたという逸話がある、ゴルトベルク変奏曲。演奏時間は80分。
「眠って良い曲」と捉えて聴くのは楽しいです。どんな楽想が飛び出してくるのか? 本当に眠れる音楽なのか?
開演前には楽譜が読めない方にも分かり易く解説する勉強会も開催。
~バッハとあなたが近くなる♪
■10月2日(日)第34回リサイタル ゴルトベルク変奏曲
[ところ]秩父市歴史文化伝承館ホール 
[時間]14時開場、14時15分~45分勉強会、15時~16時30分演奏会
[出演]高橋望(ピアノ、トーク)
[曲目]バッハ/ゴルトベルク変奏曲
[チケット]一般2500円、学生500円 発売中!(客席レイアウトのため100席限定)
[プレイガイド]イープラス 
*14時15分~14時45分 会場にて勉強会開催。ゴルトベルク変奏曲のココがすごい!お話します。
[主催]クラシックに親しむ会
[後援]ちちぶ芸術祭、一般社団法人日本クラシック音楽協会

■各誌に東京公演の批評が掲載されました。
【音楽の友3月号 上田弘子氏】
ドレスデン音大で名匠ペーター・レーゼルに学んだ髙橋は、師のDNAさながらに作品を掘り下げる。 定期的に取り上げているJ.S.バッハ≪ゴルトベルク変奏曲≫も、発酵の極みを実感した。髙橋は全編、作品の真意探究と楽器の可能性を披露し、会場の空気感も功を奏しての名演。特に評価したいのは、弾く姿(体幹)に芯があることと、耳の良さとセンス。変奏曲だからと弾き走ることなく、強固でしなやかな構成感。2度、3度、4度と変わっていくカノンと、折返して発展を見せる第16変奏以降の造りなど、モダン・ピアノだからこその多彩さ。響きもアゴーギクも時おりロマン派に通じる表現を見せるが、その知的な揺らぎは様々な研鑽の結晶だろう。やり過ぎにならない理性は高潔で、と同時にアリアを含む全30変奏の深みを愉しく聴かせる豊かなイマジネーション。それらを表現する、柔らかく使われた関節からの技巧も見事。”タカハシのゴルトベルク”とも言える商品価値である。
【音楽現代5月号 浅岡弘和氏】
秩父市出身、ペーター・レーゼルの愛弟子髙橋望はライフワークとして毎年、大バッハの鍵盤音楽の集大成であるゴルトベルク変奏曲を取り上げているが、今回も用意周到に事前に勉強会を行い、リピート尊守で80分を超える演奏時間といい、実に聴きごたえのある演奏会となっていた。髙橋ならではの知的な分析力と構築性がその所を得ていた。(抜粋)
【2015年録音のゴルトベルク変奏曲はレコード芸術準特選盤】
レコード芸術2015年9月号準特選盤 月評

高橋望はドレスデン国立音大に学び、ドイツ国家演奏家資格を最優秀の成績で取得したというピアニスト。2002年に帰国ののち、故郷の埼玉県秩父市を本拠に演奏活動を続けてきた。とりわけ、彼が「私にとって永遠のテーマであり、その探求は終わりのない旅」だという≪ゴルトベルク変奏曲≫は、彼の演奏活動の核心をなすものであるらしい。当ディスクは本年(2015年)1月31日、彼が東京の四谷区民ホールで催したコンサートのライヴ録音で、全体にわたりリピートを丹念に行ってるため、CD1枚ぎりぎりの79分58秒を要している。主題の〈アリア〉を一聴してまず感じることは、高橋望が虚飾や野心のない、誠実な心情をもってこの作品に接していること。デリケートな漸強、漸弱の呼吸、つまり現代ピアノにおいて可能な表情性をはっきり意識して活用していること。以下につづく諸変奏においても、そのような演奏上の特色は一貫して変わらない。濁りのないタッチが、きわめて明確な美しい音像を描き出すことも言わねばならない。各変奏ごとの表情づけはよく勘考されているが、テンポの設定も含めてけっして極端に走ることはない。ある変奏が速すぎる、と感じさせるケースはなく、逆に遅すぎると思わせるケースもない。装飾はリピートにおいても行うことなく、おおよそすべてが「譜面通り」に弾かれる。が美しい音楽を聴いている、という実感がつねにある。高橋望が、節度のうちで、作品をまるごと歌い抜くからだ。

ピアノでバッハを弾く人が増えた。とくに若い人が弾くのを見ると嬉しい。どうしても派手な見せ場のあるロマン派や近代に関心が向きがちだからだ。今回の高橋望のようにドイツのドレスデンに学んで帰国し、積極的にバッハに取り組んでいるのは心強い限り。これはその高橋の≪ゴルトベルク≫。 は入念に磨かれたタッチでフレージングは整えられている。第1変奏は中庸のディナーミクで弾かれ、繰り返しで一段音量を下げ、任意な装飾を積極的に入れる。もちろんタッチは短く、基本となる8分音符のテンポが一定。そこに愉悦に満ちたビート感が生まれる。そのうえ響きの制御が巧みなのでテクスチュアの透明度は高い。第2変奏はぽつぽつした左手の伴奏とよく歌う旋律がきれいに弾き分けられる。同度のカノンの第3変奏は、主題の弾き出しが明快。第6変奏は順次進行の下降の主題だが、この場合滑らかなアーティキュレーションで弾くのはバロックの常識。高橋はそれを自明のように行い、よく歌う。後半の音の密集する難所も勢いがある。どこかおっとりとしたクオドリベットが面白い。このようにごく自然にバッハの様式を自らのものとし、涼やかなタッチと洗練された音楽性で弾いている。後は唯一無二の個性と音楽の深みだが、それはきっとこれから。実は、なんとこれは今年1月31日に四谷区民会館で行われたライヴ録音、精度が高いのでしばしばライヴであることを忘れてしまうほどなのだ。

2015年1月のライヴで、聴衆のノイズや気配に邪魔されることなく十分なSN比でクリアに聴かせ、ライヴの証のように十分な間を取って盛大な拍手が入る。距離感やピアノのサイズも自然で、ベーゼンドルファーらしい図太さや明瞭な骨格感を聴かせる。

開催日 2016年10月02日(日)
開催場所 秩父市歴史文化伝承館ホール
最寄駅等 西武鉄道西武秩父駅徒歩2分 秩父鉄道御花畑駅徒歩2分
料金

有料

一般 2500円
学生 500円

主催者 クラシックに親しむ会
問い合わせ先 タカハシサイクル0494-22-1357
関連URL http://nozomutakahashi.boy.jp/
備考 【プロフィール】
髙橋 望 Nozomu Takahashi - Piano
埼玉県秩父市出身。ドレスデン国立音楽大学で国家演奏家資格試験を最優秀で修了。
同大学院マイスタークラス修了。G・ガンドルフィ国際ピアノコンクール第2位、園田高弘賞ピアノコンクール第3位。故郷秩父市にてリサイタルシリーズを開催、これまでにバッハの平均律第1巻全曲等33回行い来場者は7500人を超える。「この曲のココがスゴイ!」などトークを交えた公演で音楽を聴く楽しみを幅広く提供していくことに意欲をもやしている。NHK-FM「名曲リサイタル」、NHK-Eテレ「ららら・クラシック」で演奏が放送される。CDはソロアルバム、フィンランドの名手とのシューベルト・ピアノトリオ他があり、最新盤である「バッハ・ゴルトベルク変奏曲」は、レコード芸術9月号で準特選盤に選ばれた。第15~17回大阪国際コンクール審査員等つとめる。

* この情報は、主催者から提供されたものです。
実際に参加される場合には、内容を事前にご確認ください。